西武山口線その3終
まあこんな僕でも、20代の頃には仕事や恋愛において、それなりの悩みや焦燥感に襲われる事もあったわけで、そんな時とにかく閉塞感から逃れたい一心であてもなく電車に乗っちゃう、なんて事もありましたねえ。
蒸機が無くなってからは鉄道の写真撮影自体に対する熱意も、かなりトーンダウンしてる頃だったんですが、やはり何かあるとボーっと列車を見たいなあという衝動が湧き上がったりして。
ある晩秋の日にも、そんなモヤモヤを抱えながら西武園の駅に降り立った事がありました。着いた時にはもう陽も傾き始める頃で、ほとんど人影も無く寂しい風情でしたが、ふと気づいたのは今までこの山口線の写真を撮りに来てもまったく乗る事は無く、沿線を歩きながら撮影してそのままユネスコ村から電車で帰宅、というパターンでした。そこでこの時、初めて乗って見る事にしました。
で、これが予想以上に良かったわけです。2輌編成の客車は前の車輌に家族連れが一組、後の車輌には僕一人という状態でしたが、窓から思いっきり顔を出して秋の風を受けながら走るのが、こんなに気持ち良いとは思いもよりませんでしたね。
沿線はもう紅葉の最後の方でしたが、それでも日に染まって綺麗ですし、前方からせわしなく聞こえてくるブラスト音も心地よく、見上げた空にコッペルの吐く煙をボーっと見上げてるだけでも退屈しませんでした。
やっと乗ってみてこその魅力に気づいたのも束の間、その山口線も翌年の春には運行を止め、新交通システムに切り替わってしまったわけですね。
そういえば西武園のホームに、とても場違いな雰囲気を漂わせた背広姿の集団を見かけましたっけ、あれは新交通のための視察だったのかなあ・・・














